熊本に行こうと思ったわけ
九星気学では生まれ年で9つの星に分類され、私は六白金星。”天”を象徴し、直感で動くタイプとされている。
六白金星の2025年の吉方位に、熊本が入っていた。
FDAで中部から直接飛べるし、TSMCの半導体工場進出で今いちばん熱い街でもある。福岡に続く「面白い九州の街」として、ずっと気になっていた。
そういえば——と、ふとよみがえってきた記憶がある。
何十年か前、阿蘇の草原で馬に乗ったこと。高校の修学旅行。二人乗りで草原を一周したあの感覚。場所の名前も忘れていたけれど、なんとなく体が覚えていた。
あの場所にもう一度行きたい。
大急ぎで阿蘇1日ツアーを予約した。10,000円。
前泊の憂鬱——小牧のホテル
阿蘇くまもん空港行きのFDAは早朝便。小牧から乗るには、前泊するしかない。
近くのホテルを予約したのだけど……これが誤算だった。
朝ごはんはしっかりついていたし、そこは満足。でも壁が薄いのか周囲の音が筒抜けで、ほとんど眠れなかった。前泊ホテル選びは「静かさ」最優先にすべし、と学んだ旅の始まりだった。
💡前泊ホテルを選ぶときは、口コミの「静かさ」評価を必ずチェック。空港近くは稼働率が高く、騒音リスクが高めのことも。



くまもん空港、思ったより素敵だった



歩いて10分ほどで空港に到着。阿蘇くまもん空港に降り立ったのは午前9時前。
熊本市内から来るツアーバスを約1時間待つことになったのだけど、これが全然苦じゃなかった。
空港の中にショップ、体験コーナー、くまモングッズが充実していて、ひとりでうろうろしているだけで楽しい。まだ開いていないお店もあったのが残念だったけれど、それでも「いい空港だな」と思わせてくれる空間だった。
地方空港にしては珍しく、旅の気分を上げてくれる場所。
阿蘇1日ツアー——噴火中の山と、晴れた外輪山と
バスに乗ると、できる人がいた
バスに乗り込む5分前に、私を探している人がいた。私以外はすでにバスに乗り込んでいたようだ。空港から乗り込む人は私だけで、迷ったのかと電話までくださり、心配してくれていた。バスに乗り込むと、ツアー客の半分以上が中国系のご家族やカップル。私を探してくれたおじさん。ガイドさん——正確には通訳さんらしいのだが、実態はほぼガイドだ——が前に立ち、すべての説明を日本語と中国語の両方で話してくれる。
これが、うまい。
説明がわかりやすいのはもちろん、運転手さんとの雑談での相槌の打ち方が、もう完全に「日本の人」なのだ。ちょっとしたイントネーションの違いで中国語話者だとはわかるのだけれど、それがなければ気づかないくらい自然。
世の中にはできる人がいっぱいいるんだなあ、と素直に思った。
ガイドさんによると、TSMCの工場ができたために、渋滞が大変になったとのこと。遠目に見える工場の説明もわかりやすい。
阿蘇の外輪山へ
阿蘇山は今も活発に噴火中。立入禁止エリアもあって、今回は入れない場所もあるとのこと。それでも——外輪山の稜線に出たとき、思わず声が出た。カルデラの半分がきれいに見える。野焼きの煙。曇っているの?展望ポイントまでどんどん上る。
あ、晴れてる。やった。晴れてた。




カルデラ全体が、広大なパノラマとして目の前に広がる。野焼きの直後だったようで、草原はあちこち茶色に染まっていて、それがまた独特の美しさだった。春の阿蘇はこういう色をしているのか。
外輪山の展望地では、ボランティアガイドの方が外輪山にまつわる昔話を話してくれた。一人旅でもこういう出会いがあるから、旅はやめられない🥰
バスは外輪山の中へ。向かったのは阿蘇神社。
阿蘇神社と門前町——2300年の歴史と、縁結びの松と、末吉のおみくじ
外輪山をバスで下り、向かったのは阿蘇神社。



2016年の熊本地震で全倒壊した楼門が、7年8ヶ月ぶりに往時の姿を取り戻し、2023年12月に竣工した。復元された社殿の佇まいには、静かな誇りのようなものがある。
阿蘇神社は全国に約450社ある「阿蘇神社」の総本社で、肥後国一宮。 ご祭神は阿蘇を切り開いた健磐龍命(たけいわたつのみこと)をはじめとする12柱の神々。開運・厄除け・縁結び・不老長寿と、ご利益も幅広い。
旅では神社には必ずお参りするようにしている。おみくじも引く。今回は——末吉。まあ、悪くはない。
境内で気になったのが、「縁結びの松」として知られる「高砂の松」。女性は右回りに2回まわると良縁に恵まれるという 、その松。末社(縁結びにご利益のある小さなお社)もあったような気がする。一人旅だけど、良縁は広く解釈していいだろう。仕事の縁でも、旅の縁でも。願掛け石の前では旅の安全を祈願。



そして門前町の「水基(みずき)」——湧き水の飲み場が商店街に点在していて、 歩きながら水を飲める。TSMCが熊本に工場を構えたのも、この豊かな水が理由のひとつと聞く。飲んでみると、やわらかくておいしい。なるほど。
今風のお茶屋さんで目に留まったのが、三年番茶。手に取った瞬間、マクロビをやっていた頃のことがふと蘇った。最近すっかり健康のことを後回しにしていたな——と反省しながら購入。お土産にも、健康茶をもう一つ選んだ。
草千里——あの日の記憶が、ここだった
ツアーの最後は草千里。

なんとなくここに来たかった、という気持ちがずっとあった。自然と都会の両方を見たくて。そして、何十年も前に馬に乗ったあの場所の記憶がここにあった気がして。
1時間の自由時間。乗馬体験(1,500円)と散策、どちらにするか少し迷って——歩くことにした。


丘を登った。息が切れた。大きな水たまりを回った。カップル、家族連れ、学生グループ。いろんな人がいる中を、一人で、しかもジャンパースカートで歩き回るアラカン女子。
いいだろ。楽しいんだから。
でも後になって、1,500円の乗馬をスルーしたことをじわじわ後悔している。次に来たときは絶対乗る。いつになるかはわからないけど。


熊本市街へ——「ここ、都会!」
ツアーが終わり、バスで熊本バスターミナルへ約1時間。
窓の外を見ながら、熊本市街に近づくにつれて、なんとなく予感がしていた。
バスターミナルに着いた瞬間——やっぱり都会だった。びっくりするほど。
市電が走っていて、商店街に人があふれていて。高知と同じ市電の街なのに、規模が全然違う。TSMCが来た理由も、FDAが飛んでいる理由も、なんとなく腑に落ちた気がした。

今夜の宿——OMO熊本
今夜の宿はOMO熊本。熊本城に近い、まちなかホテル。



ビルの4Fがロビー。チェックインして部屋に入ると——1人なのにツイン仕様で広い。大通りに面した窓からは、市電が走る様子も、熊本城も見える。お風呂も大きくてゆったりできる。






ロビーのカフェが素敵で、暖かかったのでテラスで一息ついた。
夜は太鼓の演奏があった。熊本城にまつわる歴史の話も。
旅の1日目が、静かに、でも豊かに終わっていった。
今夜の宿のいいところ——OMO5熊本、まちなかの特等席
熊本駅から市電で約17分、「通町筋」駅目の前。 Hoshino Resortsビルの3〜4Fがホテルになっていて、商店街の真ん中にある。チェックインして部屋に入ると、窓の外には大通りを走る市電、その奥に熊本城。一人なのにツイン仕様で広くて、お風呂もゆったりできる。
熊本城が一望できるテラスでは、ご当地料理をアレンジしたカフェメニューやドリンクが楽しめる。 Hoshino Resorts暖かかったのでテラスに出て一息ついた。城を見上げながら飲むコーヒーは格別だ。
そして、ロビーの一角でふと足が止まった。
井草で作られたピアスがあった。
正直、最初は「え、井草?」と思った。畳の素材のあれ? でも手に取ってみると、これが本当に美しい。繊細な編み目、軽さ、そしてどこか和風なのにおしゃれな佇まい。アーティストが一つひとつ手作りしているらしく、値段は1万円。
1万円のピアスなんて買ったことがない。でも、こういう出会いのためにお金を使うのが旅というものではないか——と自分に言い聞かせながら、結局この日は買えなかった。
今もまだ迷っている。
💡OMO5熊本のここが好き
- 市電・熊本城・商店街が全部「窓の外」
- 1人でもツイン仕様で快適
- ロビーのテラスがお城ビューで最高
- 地元アーティストのクラフト作品も販売(井草ピアス!)
- 夜は太鼓演奏もあり
阿蘇の外輪山から見たカルデラの景色、名水の門前町、野焼き後の草千里。全部、想像以上だった。
修学旅行の記憶は、ちゃんと上書きできた。草千里の乗馬は……次回に持ち越し。
吉方位への旅は、「なんとなく呼ばれる感じ」がする。行ってみてわかることが、必ずある。
旅で出会ったもの ー イグサで作ったピアス
OMO5熊本のショップに並んでいたのは、itiiti(イチイチ) という熊本のプロダクトユニットが手がけるい草のアクセサリー。
熊本の二人の女性アーティストが2010年からスタートしたユニットで、県の名産品であるい草を素材とした独自のアクセサリーが注目されている。
手に取ってみて、まず驚いたのが軽さ。見た目のボリュームからは想像できないほど、ふわりと軽い。ピアス1つにつき約1,000粒、長さにして3mの糸通し。1日に制作できる数は5つにも満たない という、気が遠くなるほど繊細な手仕事だ。
植物のような、鉱物のような不思議な質感。ふとした瞬間にこぼれる銀糸のきらめき。
い草といえば畳。でもこれはジュエリーだ。和装にも洋装にも合うし、年齢も問わない——と商品説明にあるけれど、まったくその通りだと思った。
値段は8800円。
こんな高価なピアスなんて、買ったことがない。でも旅先でしか出会えないものに、旅先でしか使えないお金がある気がする。悩んで、悩んで——この日は買えなかった。
今もまだ迷っている。
ちなみにい草の産地として知られる八代・宇城地方は、国内生産のほとんどを担いながらも、ライフスタイルの変化で畳の需要が激減し、農家さんの数も減っている。 itiiti のアクセサリーを買うことは、そういう熊本の産業を、小さくつないでいくことでもある。
BASEでオンライン購入もできます→ itiiti公式ショップ
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「旅先で出会ったもの」 イグサで作ったピアス。 迷った末にゲットしました。
夜は太鼓演奏とともに
夜、OMOベースで太鼓の演奏があった。熊本城にまつわる歴史の話も聞きながら、1日目が静かに終わっていった。
阿蘇の草原から、城下町の夜まで。密度の濃い1日だった。



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